今年が見納めになるであろう石道地区、例年は平田リーダーが調査しているが、超多忙ということで、今回は、やはり会員の大森さんと代理を引き受けた。この日は、市主催の「自然ふれあい講座」の「石道のホタル観察会」をやっていて、その傍らでせっせと数えた。いつもはむしっとする頃だがこの日は少しひんやり感じた。
夕暮れのなんとか明るいうちに調査で通る畦道を歩いてコースを確認し、だんだんカエルの声が大きくなるのを聞きながら、闇を待って開始。東へ向かう水路や丘の手前の水路は時々だが万遍なく飛んでいる。奥のゴルフ場の丘から田畑に出る水路は、ここ何年か私が見に来た時に比べて極端に少ない。たくさんのホタルが同時明滅することもあったのに、静まり返った闇に時折ふわりと光が見えるだけだった。猪名川から流れ込んだと思われる鯉の群れがいたせいもあるのだろうか。この1週間後に来た時もそうだった。しかし、数日前には多く見たという人もいた。
そこから猪名川に向かって西に蛇行する、茂った水路では、昨年のように遠くからでもホタルの光で川筋がわかる、ということはなく、一見、少ないなあと思ったが、飛び回らず草に止まって光っているのが意外に多くいて、総数としては、昨年ほどではないにしても400頭近くいて、多めと言えるようだ。
周辺状況は、今年は、石道温泉の送迎ワゴン車がお客を乗せて2度ほど行き来していた。蛇行の水路辺りで、小さな飼育ケースにどっさりのホタルを入れた親子連れに出会った。小学中学年くらいの少女は虫捕り網をびゅんびゅん振り回していた。思わずムッととして、「それどうするつもり?そんなに振り回したら痛いでしょ。ホタルは小さいから死んでしまうよ。命でしょ、大事にしてやってね。」と言ってしまった。ありがたいことに、大森さんは穏やかにフォローしてくれた。この水路は高速道路設置のため近々壊されてしまうこと。ここのホタルにとっては最後の夏であることなども伝えた。
幸い、父親は「すみません」と子ども達とホタルを放してやった。ほとんどわしづかみだったけれど。次の機会があれば、「なんで光ってるか知ってる?」と、相手に不快感を与えず知ってもらって、生き物との接し方を考えてもらえるような話の仕方をしようと反省した。また一方、このような人たちは多分想像力に乏しくて、地元の人への気遣いもないに違いない。ホタルを求めてやってくる人が増えれば、傍若無人な行為も増え、地元の人達は嫌気がさすのだろう。尊大な言い方だけど。
さて、これが見納めかとの感慨にふけるだろうと思っていたが、実感がわかぬままいる。しかし、今回のゲンジボタルの数の調査表を見せてもらったら、ここ何年も石道が桁違いに多い。これがなくなったら本当に寂しい数となる。川西にはホタルの棲む地域があるなんて、とても言えない状態になる。今月の市の広報にホタルの記事が載るようだが、市はここにホタルがいることも、工事でなくなることも知りながら、生息地を調査したり、保護したり、啓蒙活動したりなど全くないのに、いいとこ取りだけして「すばらしい自然環境の川西市」の宣伝に用いるなどお気楽なものだ。ああ、無能な私にできることはないの?
(正井)
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ゲンジボタル